ロングテール戦略におけるデータ分析の重要性

「せっかくデータ分析を十分に活用できるシステムを導入したのに、現場が思うように使ってくれない。現場がまだデータの価値を理解していないのではないか。」
ECサイトでもオフィス機器を販売する某クライアントの管理職の声を聞いたのが、本件の始まりでした。

このクライアントはオフィス機器を販売する中堅企業、近年オンラインでのマーケティングに力を入れてきた結果、コロナパンデミック下においても業績を大きく伸ばしています。近年では大企業、中小企業を問わず多品種を販売するロングテール戦略を構築する企業が増えています。 ロングテール戦略では小数の人気商品に頼らず、その他大勢のニッチな商品の販売を積み重ねることで、全体の売上を確保し、リスクの分散も図ります。 技術的にもインターネットやECの普及で中小企業でもその戦略を採用することが可能となりましたし、現代のような不確実な時代では「選択と集中」の戦略が必ずしも理想的とは言い難くなってきているためです。

ロングテール戦略は煩雑な管理が付き物

ロングテール戦略は世界最大の小売企業Amazonの基礎戦略でもあるように、非常に優れた戦略ですが、欠点もあります。一番大きな問題は販売管理が煩雑になるということです。多品種多品目における販売管理にはデータ管理が必須ですが、通常、中小企業ではそのようなデータ管理に適した基幹システムや専門部署は整えられていません。これらの導入にはかなりの金銭的コストと人的コストが必要になりますし、その切り替えコストも莫大です。

ロングテールモデルのデータ分析の難しさ

ロングテールモデル

図はhttp://www.okuramkt.com/より引用

上の図のように、成功したロングテールモデルではニッチな商品の収益が主要な商品の収益に迫るほど成長してきます。このようなテール部分の売上は、高いダイバーシティがあるため長期的な安定的な収入源となりますが、その多様性故、マーケティングや販売で何が起きているのか、次の一手を打つために状況分析をすることが人間の能力では難しくなってきます。収入の地盤を固めてくれる心強いテール部分ですが、なぜ売れているのか、どのようにしたら更に伸ばせるのか、洞察を得るのが非常に困難なのです。

ロングテールモデル

販売数量をグラフにしてみても、このように近似値がずらっと並ぶため、あまり意味を成しません。

ロングテール戦略におけるデータ分析の意味

ロングテール戦略では多くの商品や多くの顧客とかかわるようになるため、前述したように社内でも何が重要かを見極めるのが難しくなってきます。中小企業でECサイト(オンラインショップ)事業ではロングテール部分が全体の7割の売上を占めるようになることも稀ではありません。こうなればもはや主要な製品よりもロングテールのメンテナンスに注力しなければなりません。ロングテール戦略においてデータ分析に求められることは、多くのデータの中から「最も費用対効果の高い次の”打ち手”」を炙り出すこです。

漸くここで冒頭のクライアントのお話に戻ります。こちらのクライアントは歴史の長い法人向け機器販売業ですが、多くの製品を掲載したホームページから、少なくない数の新規顧客流入が常時あり、意識せずともロングテールモデルとなっていました。そんな中、管理部門ではデータ分析を武器にするため、データ蓄積が可能な基幹システムに投資した矢先だったのです。

月例会議で使われていたデータ

ロングテールモデル

注)実際のレポートではなくイメージです。

こちらのクライアントでは月例会議で上記のようなレポートが10枚ほど提出され、主力商品や主力顧客のデータ変動を読み上げるということを行っていました。

例えば下記のExcelデータが1000顧客分あったとして、一体どのようなことを読取れるでしょうか。

Excelレポート分析

分かりましたか?難しいですよね。実はこれはなかなか難しい問題です。”データは金なり” ですが、量の多いデータはお金と違って使うのが非常に難しいのです。

販売事業で必ず行いたい基本販売データ分析

ロングテールビジネスモデルにかぎらず基本的な販売データ分析は必要です。

  • 商品、売上金額でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 商品、利益金額でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 商品、数量でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 顧客、売上金額でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 顧客、利益金額でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 顧客、数量でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 仕入れ先、売上金額でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 仕入れ先、利益金額でのTOPランキング、ワーストランキング
  • 仕入れ先、数量でのTOPランキング、ワーストランキング
これらのトップ10は最低でも会社全体で共有しておきましょう。 ご利用の販売管理システムでは数量ランキングが出せない、ということもあるかもしれません。そういった場合はデータを構成しなおす必要があるかもしれまえんが、もととなる販売履歴データがある限り必ず方法はあります。

現場が動いたトレンド分析

このクライアントの現場ではデータ疲れが起こっていました。ヒアリングを行ってみると現場ではデータを見ても、データの動きは理解できるが、すぐに行動できるアクションが導き出せないようなのです。商品の売上は季節変動もあるし、そもそもロングテール製品は、月単位で動きを見ても、かなりランダムに推移する傾向にあります。問題はどれだけデータとにらめっこしても、皆で取組める「決定的な打つ手」が見えてこないことにありました。そこで弊社が提案したのが以下の簡易トレンド分析です。
  • 商品、売上金額での上昇&下降トレンドランキング
  • 顧客、売上金額での上昇&下降トレンドランキング
  • 仕入れ先、売上金額での上昇&下降トレンドランキング
  • 商品、売上数量での上昇&下降トレンドランキング
  • 顧客、売上数量での上昇&下降トレンドランキング
  • 仕入れ先、売上数量での上昇&下降トレンドランキング

過去一定期間(最低でも1年分)の【商品】【顧客】【仕入れ先】をキーにデータのトレンドを導き出し、上昇トレンドの場合は上昇トレンド値、下降トレンドの場合は下降トレンド値数値へと数値化します。そして、このトレンド値の大きなものから抽出していくのです。つまり、数千品あるデータ中から、最も上昇トレンドにある商品トップ30、もっとも下降トレンドにある商品ワースト30などをあぶりだします。これらのデータはその分析期間内にビジネスにもっともインパクトを与えているデータとなるため、無駄がありません。また同じ季節変動があるカテゴリ内で行えば季節変動を無視できるというのも大きな利点です。

ほんとんどの現場の方々はこれらのデータを見るなり、即座に自分の知る何らかのシナリオに結びつくデータがあることに目を輝かせていました。そして、気付かない間に下降トレンドとなっていた静かな優良顧客や、昨年まで定期的にあった注文が途切れていることに気が付いたり、思いもよらない製品が売上を伸ばしていたことに気が付きます。その背景を分析することで全社がデータにくぎ付けでした。そしてその月からデータ分析に基づいた様々な顧客訪問やヒヤリング、マーケティング活動が自発的に開始されたのです。

売れていない製品の対策をするのは難しいのです。そもそも売れていないので販売の現場としては、それが自分たちの責任だとは考えません。ところが、トレンドランキングに出てくるような販売データというのは、上昇トレンドか下降トレンドにかかわらず、販売現場やマーケティング担当、幹部クラス社員から何か洞察が何か出てきます。下降ランキングにでた製品に「そういえば、この商品、一番商品説明が得意だったAさんが今年から育児休暇に入っています。」といった具合です。

販売データによるトレンド分析

実際の下降トレンド商品ランキングワースト15製品をグラフにしたもの

このグラフは過去12カ月分の実際の販売数量下降トレンドワースト15商品(10000点の商品から)のデータです。一部を除いて目で見ても見逃してしまうようなグラフがほとんどです、しかしこれらがまぎれもなく下降トレンドワースト15なのです。

データ生成は自動化

これらのデータ生成は自動化し、毎月関係者に配布、ヒアリングしましょう。誰にでも分かるデータから得た洞察は現場を活気づけます。弊社ではデータ蓄積からデータ分析、その自動化まで一貫してお手伝いが可能です。是非、ご興味があればお声がけください。DXは利益に直結するデータ分析から始めましょう。

レガシス

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